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    映画「ヒミズ」

    考えさせられる邦画

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    基本情報
    出演
    染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、吹越満、神楽坂恵、光石研、渡辺真起子、黒沢あすか、でんでん、村上淳、窪塚洋介、吉高由里子、西島隆弘、鈴木杏
    監督・脚本
    園子温
    原作
    古谷実
    公開
    2012年
    あらすじ
    ごく普通に生きることを願っていた祐一と、愛する人と守り守られ生きていくことを夢見る景子。ともに15歳の2人の日常が、ある事件をきっかけに絶望と狂気に満ちたものへと変わっていく様子を描く。

    予告編を見る

    感想

    難しい、この映画をどう評価していいのかが凄く難しい。 総論賛成、各論反対という感じだ。 今までの園監督作品とは体裁は似通っているんだけど、これまでと少し違う結末へのアプローチの仕方に少しつまずいてしまった。嫌いな作品だったら基本的に感想なんて書かないので、嫌いではない。むしろ好きな作品だ。しかし、心から礼賛できないのも確かだった。

    この映画の原作漫画の世界は2001年、映画版の世界は2011年。この違いはこの作品にとってとても重要だ。2001年の人々にも2011年の人々にもおそらく、根拠のない希望を信じられず、今そこにある絶望の方にどうしても目がいってしまうという人がいたと思う。今作品の主人公 住田もそんな考え方に陥ってしまう一人だった。

    しかし、2001年と2011年には決定的な違いがある。やはりそれは震災だ。2011年の人々は震災を経験し、老若男女全員がメディアを通して目に見える災害の風景を目撃した。そして、その風景を見て虚無感と絶望を連想させずには居られなかっただろう。

    himizu2.jpg himizu1.jpg

    2001年と2011年の人々どちらにも住田のように精神的絶望を抱えている人が確かに居て、2011年の人々の方はそれに加えて、物質的な絶望も目の当たりにした。では、2011年以降の人々が二重の絶望で崩れ落ちたかというと、そうではない。そこには、みんなでもう一度立ち上がろうと努力する姿があった。その姿に園監督は絶望ではなく希望を感じ取ったのだと思う。

    マイナスの符号が付いた数字同士の掛け算の積がプラスであるように、精神的絶望と物質的絶望の先は必ずしも地獄ではなく、希望に変換されるのかもしれない。 2001年の漫画を2011年に映画化するにあたって園監督が描きたかったこと、それこそがこの震災が浮き彫りにした「希望の発見」であると感じた。 低きに流れる水とは違い、人間には手と足と意思がある。押しつぶされそうな状況に抗しようとする反骨心がある。そこから園監督は人間の希望を見出したんだろうなと思う。

    ラストシーンでは根拠のない希望にも目を向ける価値があるんだぜというのを、ストレートかつエキセントリックに伝えてくれている。 このメッセージが監督の真意だとすればそこについては良い映画だし、見る価値は大いにあったと確信してる。

    でも、園監督がこんなちゃんとした事をこの作品の体裁で伝えるにはリスクが大きすぎたのではないだろうか。もともとリスクなんか考えない監督ではあるけれど、その事をどうしても考えてしまう。

    僕は原作漫画を読んだから、解釈の幅を広げられた。 過去の園子温作品を観てきたから、過度の演出に対する抗体も出来てた。だからこそ、個人的に受け入れられた映画であるんだと思う。

    一方で、この映画を受け入れられないという人も大勢いるはずだ。この事が凄くネックになっている。 つまり、観る人を選ぶ演出でこんな普遍的なメッセージを届けていいのか?という、おせっかいで、つまらない心配が頭から離れない。この事が今までの作品と比べて異質だったように感じる。

    himizu3.jpg himizu4.jpg

    過去の商業映画作品では、賛否両論が巻き起こる事はわかっていても、園子温的真理として頭に納める事が出来たのに、今作品だと園子温的方法論で一般的真理を説いているように見えるから、今までの作品との違和感を感じずにはいられない。

    個人的には好きな作品といえるのだけど、やはり震災という現実問題に絡めると、主観だけでの判断が難しくなるのは仕方ない事だと思う。

    それで、こんな保守的な見解を持って、一体何を保守したいかのかを考えてみると、やはりそれは過去の園子温映画に見る園子温的真理、つまり新たな現実の捉え方を提示してくれる作風だった。 今回はこれが無かったから、上手くハマらなかったのだろう。

    でも、この作品は園監督映画の歴史で言えば、大きな変化だろうし、次回作の進化の前兆かもしれない。だから、園監督ファンは必見だ。逆に園作品を知らない人は過去の「紀子の食卓」「愛のむき出し」、お好みで「冷たい熱帯魚」を観てから今作「ヒミズ」を観た方が楽しめる可能性は格段に上がるはず。 懐かしのキャストオンパレードなのも既存ファンに向けた映画であることの暗示だったのかもしれない。

    ちょっと追記
    海外ドラマ「ウォーキングデッド」を観てヒミズの印象が少し変わりました。最後の『ガンバレ』は最初は住田一個人への応援の言葉だと思った、客観的にはそうかもしれないけど、住田にとっては呪いの言葉でもあり、気休めでもあったんだ。そして、その本当の意味を知る、あるいは意味を作るのは未来の住田しかいないんだろう。という事は、あの言葉によって絶望していく住田もまた未来には存在しうるわけだ。園監督らしいぶっきら棒なラストシーンだったのかなと思う。

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    Secret

    kitaco said:

    No title

    園子温監督の初心者でして、今回は被災地も絡んでいると知って
    相容れないのではないかな?と、観る前からかなりビビッておりますよー
    ぷっつんさんのご洞察、いつもながらとても参考になります。
    来週からです。観てきますっ
    ぷっつん said:

    Re: No title

    これまでの作品の積み上げの上に「ヒミズ」あり、みたいな所あるので何とも言えないですけど、観る価値は大いにありますよ!
    是非来週までにビビりは抑えて観て下さいね笑

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