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    ショパン ~愛と哀しみの旋律~

    考えさせられる洋画

    entry_img_203.jpg
    基本情報
    出演
    ピョートル・アダムチク, ダヌタ・ステンカ, ボジェナ・スタフーラ, アダム・ヴォロノーヴィチ
    監督
    イェジ・アントチャク
    公開年
    2011年
    あらすじ
    19世紀、帝政ロシアの圧政に苦しむ祖国ポーランドを捨て、自由な音楽活動を求めて若き天才作曲家フレデリック・ショパンはフランスに向かう。パリのサロンでは、超絶技巧のピアニスト、フランツ・リストの名演奏によってショパンの才能は一気に認められる。女流作家で社交界の花形のジョルジュ・サンドもショパンに魅了された1人だった。離婚歴のある年上のサンドの包容力に繊細で病弱なショパンも癒されてゆく。

    予告編を見る

    感想

    最近興味本位でクラシック音楽を聴きはじめました。そんな人間がクラシック音楽について、ましてやショパンについて映画を観た程度でわかった風に語れる事は全くないのですが、何か書き残したいと衝動的に思いたったので備忘録的に書きます。

    正直この映画には感動や高尚さや面白さはあまりありません。じゃあ何故それが映画になるのかと言えば、その人生を生きたショパンから素晴らしい音楽が実際に生まれているからです。
    だから、観る側にはそれなりにショパンの人物像について映画で描かれている以上の事を妄想していく必要があるかもしれません。かなり能動的な鑑賞が必要です。

    ショパンの音楽や人物像はかなり語りつくされているかもしれませんが、自分勝手に妄想したいと思います。

    たいていの場合、偉人を語るには幼少期から始めますが、この映画だとショパンが祖国ポーランドを去り、パリに入ってジョルジュ・サンドというわけあり女性との生活に入ってからの人生が中心となります。

    このジョルジュ・サンドとの生活(1838~1847)の約10年間がショパンの音楽に多大なる影響を与えました。

    彼女はショパンより6歳年上で、貴族出身の小説家です。パリの社交界でもてはやされ、ショパン以外にも様々な著名人達と関係を持った「男装の麗人」と呼ばれるような人物です。個人的にはショパンよりもサンドの人生に大いに興味を持ちました。

    この映画はショパンにスポットライトが当たっている映画なので、サンドの描き方が意図的に少し雑なのでは?と疑っているのですが、サンド研究家の方がいたら彼女について詳しく教えてもらいたいですね。ウィキペディアさんで書かれているサンドの人生を読むだけでも、こちらを映画にした方が面白くなるのではないかなと思います。


    sand3.jpg

    ともあれ、1849年に39歳の若さで亡くなったショパンにとってサンドとの10年もの生活は人間関係の光と影を濃密に味わった期間だったはずです。
    まずショパンとサンドをまたぐ三角関係がとても印象的に描かれていました。

    「ショパン」と「サンドの息子モーリス」とのサンドの愛情を巡っての三角関係、そして、「サンド」と「サンドの娘ソランジュ」とのショパンの愛情を巡っての三角関係が繰り広げられます。
    人間は一般的に、嫉妬されれば悲しく、羨望を受ければうれしいわけですが、サンドの連れ子から常に嫉妬と羨望をぶつけられたショパンの感情は正極から負極へ行ったり来たりしたはずです。そのためショパンの精神には常時電流が通って、精神エネルギーの燃焼はとてつもなく速かったのではないかと思います。

    まるで昼ドラかのようなべとついた人間関係はにわかに信じがたいものがありましたね。それが結果的には偉大な音楽の肥やしになったわけなので映画となるのですが....ホントにこういう事ってあるんですね。

    このようにショパンにとっては祖国ポーランドの占領や恋人との複雑な関係など、必ずしも自由ではない現実世界の息苦しさがあったと思います。一方でそういった感情を美しく消化出来る音楽という世界が彼のある種の救いだったのです。

    しかし、だからといってショパンは音楽の世界だけにのめりこんでいくような極度の奇人ではなかったように思います。このショパンの絶妙なバランス感覚が素晴らしい音楽の源になったのではないでしょうか?

    つまりショパンは常に自分の体験を感情にのせて音楽に変換させていくための客観的な視座を持っていたんじゃないかなぁと、現実世界と音楽世界との行き来がすごいうまかったんじゃないかなぁと、偉そうに思ったりします。
    それは映画からはあまり感じ取れないのですが、ショパンの音楽を聴いているとなんとなくそのように感じますね。 こういうところを音楽をちゃんと聴いて突き詰めて行けたら面白そうですね!

    さらにショパンは「自由」や「解放」を根源的に求めていました。しかし、抑圧された世界の中でしか自由への衝動は湧いてこない事をも無意識的に感じ取っていたのかもしれません。それは彼の病弱で自立できない健康状態やサンドの庇護のもとでのみ自分の価値を最大化できる音楽家の立場として生まれる彼独特の感性です。だからこそ抑制された怒りや絶望のような繊細な情感の音楽をも作り出せたのではないでしょうか。

    と、ここまで素人目線でショパンの事を勝手に妄想しましたが、やはり音楽を聴いてこそショパンを語れるので、この映画を皮切りにしてクラシック音楽へ足を入れてみたいと思います。

    この映画はショパン入門の為の映画では全く無いし、誰かにおすすめできるほど面白い作品でも無いのですが、天才の内面を妄想させてくれるきっかけを与えてくれました。結果的にクラシック音楽への目覚めのきっかけのにもなりそうなので個人的には良い作品だったと言えるのではないかと思います。


    「別れの曲」

    「革命」「木枯らし」
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