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    「パレード」映画から原作を、そして最後に舞台へ

    怖くなる邦画

    entry_img_108.jpg
    基本情報
    出演
    藤原竜也, 香里奈, 貫地谷しほり, 林遣都, 小出恵介
    監督・脚本
    行定勲
    原作
    吉田修一
    公開
    2010年
    あらすじ
    第15回山本周五郎賞を受賞した吉田修一の小説を、行定勲監督が映画化した青春群像ドラマ。都内のマンションでルームシェアをする4人の男女は、さまざまな不安を抱えつつも怠惰な共同生活を満喫していた。そんな折、男娼のサトルが同居人に加わり…。

    この予告編おすすめ→予告編を見る


    (ネタばれしてます、観てない人はダメ、絶対)
    感想

    映画館で見ようと思っていたけど、結局DVDでした。

    期待通りめちゃくちゃ面白かったです。個人的に「告白」より数百倍面白かったです。

    この映画で描かれている若者の人間関係が今の現実のすべてだとは言い切れませんが、
    決して虚飾の世界ではないはずです。若者同士の物理的な距離感と心的な距離感が一致していないのは否めないと思います。

    メールとかソーシャルメディアとかいろんな要因があって、今の若者特有の人間関係が形成されています。それはオトナから観たらおかしいと思うのだろうけど、当事者としてはあんまり違和感もないことです。

    その「普通」の感覚が世代間で違いすぎるから色んなところでひずみを生んでいるのだと思います。

    映画の最後にかけての雰囲気は「家族ゲーム」を思い出します。
    互いが互いの人生とか生き方とか行動に深いところまで干渉しないっていうのは、悪く言えば冷徹で、よくいえば合理的です。だから人間関係に関してこうあるべきだっていうことは独善的に言うことはできません。ただし合理的という言葉に何か冷たさがあるのは否めませんが...。

    個人が集まって一つの宇宙を作っていた「ユニバース」の時代はもう終わって、
    個人がそれぞれ一つの宇宙を形成し、近い波長同士が自然と集まって小宇宙を形成するっていうのが今の若者社会つまり「マルチバース」ということではないかなと思います。

    そして、占い師が直輝を占った時の内容がとても印象的でした。
    「あなたがこの世界を抜け出したとしても、
    そこは一回り大きな、やはりこの世界でしかありません。
    世界とあなたとの戦いは、世界の方が強いのです」

    ここで一つだけ疑問があります。
    映画会社に勤める様な、しかも好きな映画が「2001年宇宙の旅」であることを考えると、
    (かなり偏見に満ちていますが)直輝はおそらくアート系映画が大好きで、映画だけでなく「ライ麦畑でつかまえて」のような青春文学とか「ナジャ」みたいなシュルレアリスム文学とかが好きなような人間じゃないかと思うんです。

    そんな直輝がなぜ殺人と言う身勝手で無価値な行為を通して、現実世界を抜け出したいと思ったのかが疑問です。

    彼が狂気や非現実を求める理屈はわかります。

    狂気や詭弁の中に身をおいてこそ、自分が何を追い求めているのかが、求める先に誰が居るのかがわかるのだ 
    ということはシュルレアリスムの文中でよく言われる言説です。
    だから直輝もそういった狂気に走ったということはまだ理解できます。

    でもなんでその狂気の表象が殺人なのかが腑に落ちないのです。
    世界を抜け出したいという欲求だけが引き金になって、殺人を犯すという事は考えにくいんです。
    著名な革命家のように「世界を刷新したい」だとか、「新世界を築く」のような抜け出した後の世界を独善的にでも見据えている人間であれば「人を殺すことも厭わない」という帰結になることはあると思います。

    だから、直輝にも彼を殺人者の人格に形成した過去のトラウマやエピソードがあるのではないかと思います。そこが気になります。しかし今のところ原作は読むつもりありません。
    映画だけで満足してしまったからです。

    2011年9月1日追記 原作を読んで



    読む気はなかったのですが、たまたまブックオフで300円だったので購入して、パレードの原作を読んでみました。

    大きな点で映画と異なるところはないように思います。
    その点はちょっとがっかりでもあり、行定監督の完成度の高い脚本はさすがと言う事でしょうか。
    気になっていたのは直輝の奇行の心理的な原因は何なのかという事でした。

    興味深いエピソードはサトルの章で書かれていた直輝15歳の家出のエピソードでした。

    直輝は両親に置手紙をして、見知らぬ土地に迷い込み、誰も居ない別荘へ侵入したのです。
    そして、そこで過ごした日々をとにかく素晴らしいものだったと回顧していました。
    「山小屋が他人の持ち物で、そこのガラス割って侵入すれば犯罪行為になるってことぐらい、頭では冷静にわかってんだよ。それなのにさ、なんていうのかな、今俺は家出中なんだってことに少し興奮していたのもあるのかな、その山小屋の中へさ、もっと言えば、見知らぬ他人の持ち物であるその山小屋の中へさ、無理やり侵入してみたいっていうか、、、。無理やり自分の体を押し込んで、その山小屋自体を自由に動かしてみたいっていうか、、、。そんな変な衝動に駆られたんだよ」 
    「パレード」p222‐p223 幻冬舎文庫

    このエピソードから類推できる直輝の人物像はいわゆる「かまってちゃん」なのかなと思いました。
    誰もが常識とか美徳とかルールっていう秩序の中で生きています。
    でもそれは決して窮屈なことではないはずです。だって、それぞれは自分は自由に生きていると思っているからです。
    その光景はたとえるならまさに「パレード」ではないでしょうか。
    全体を俯瞰すると沢山の人々がルートにそって秩序正しく浮かれて騒いでいるように見える、そして、そこから一点にズームして個々人を見れば何者にも拘束されずに自由気ままに騒いで楽しんでいるように見える。

    そんなパレードの行進の中で自分だけは逸脱したいと考えてしまう存在が直輝の様な人間なのかなと思います。直輝はパレードから逃れたい、そして自分がその行進を覗いている存在になりたいと思ったかもしれません。とにかく自分がその他大勢の一部であることが嫌で嫌で仕方無かったのだと思います。
    その結果として、秩序正しく生きるための理性を麻痺させて、犯罪行為をするというのが、直輝が世界から逸脱する方法になったのかもしれません。

    しかし、結局占い師の言葉にあるように、直輝は世界(パレードの行進)から逃れる事は出来ないし、世界の大きさやスピードは宇宙のように無限に拡大しているのです。

    卑小な存在でありたくはないと思う直輝にとって、ありふれた人間だと思っていた良介、ことちゃん、未来、サトルの4人が持つ世界の広さに愕然とした事でしょう。直輝自身が最も陳腐な人物だったのかもしれません。

    原作を読んで、思う事は映画の完璧なまでのキャスティングです。
    映画観て、原作読むっていう順番のせいもあるかもしれませんが、すごくぴったりのキャスティングです。
    「映画は70%がキャスティングできまる。」まさにその通りです。

    2012年1月28日追記 舞台を観て

    パレード舞台

    観てしまいました、舞台版パレード

    舞台は全く観慣れてないので、いつも緊張感があります。

    僕は映画→原作→舞台の順で観てきたのですが、とうとうこの住人達はここまで来たか...という結末でした。
    原作から始まり、映画そして舞台へとどんどん先鋭化していく演出の比較を考えるだけでも個人的には満足でしたね。
    映画と同様に舞台でも最初のシーンはヘリコプターの音が印象的に流れていたけど、あれはやっぱり「家族ゲーム」を意識しているのかなぁ?個人的にはあのヘリの音は「未開の非現実空間へ潜入します!」的な事として受け取っているのだけれども良いのかな?

    この作品はどうしても現代の若者の病巣を描いていると捉えられがちだけど、僕には全く親近感や共感覚は刺激されなくて、とにかく凄くスリルのあるショーとしてこの作品を捉えています。

    若者の特殊な距離の取り方とかは現実にありえるかもしれないけれど、異世界の物語なんですよ。
    この部屋だけ異空間へ漂流していて、まさに漂流教室ならぬ漂流シェアハウスなんです。
    どうして異空間に見えるのかは全くわからないのですが、だからこそエンターテイメントとして楽しめるんですよねぇ。

    もしこれが僕にとって異空間ではなくリアルな若者群像劇として見えていたら、「俺達、こんなんじゃねぇよ!下手な妄想で若者いじってんじゃねぇよ!ぼけ」って反発してると思うんです。
    やはり映画や舞台は現実の模倣ではなく、あくまで現実を捉えなおしてくれる視点だと思っているので、その点でこの映画や舞台は凄く面白い。

    それにしても何故この作品は極端に異空間を感じるんだろう?

    でも理由なんていらないや、そう感じるという事実だけで充分だ。


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