タグ:イギリス映画 の記事一覧(9件)
アタック・ザ・ブロック / スケール感に感動
基本情報
感想
タランティーノ監督が選ぶ2011年ベスト映画第7位にランクインしたこの映画、カジュアルに映画を消費したい人やサブカル好きの人達に結構おすすめかも。
宇宙人ポール /本当のエイリアンは....!?
コラムニストの町山智浩さんが2011年のNo.1に選んだ映画『宇宙人ポール』
僕はわかっていました。こういう前評判の良い作品ほど期待し過ぎてはいけない事を!
期待値と現実との差の大小が作品の評価を狂わせてきた経験をいくつもしてきたからです。
この作品もきっと例外ではないはずだ、そう直感したので過度の期待を拭い去って鑑賞しました。
そして、結果的に年明け劇場鑑賞の初大笑いをさせていただきました!
宇宙人と逃避行するという設定が面白いのは当然ですが、それだけでなくオタクイギリス人とイケイケ宇宙人の掛け合いが所々で笑わせてくれました。この映画では常に笑の法則『緊張の緩和』が働いていて割りと日本的な笑いに近いような?気がします。
誰が観ても楽しめるので是非ご覧ください!
以下にアホみたいに真面目にエイリアン・ポールについて考えた事を書きます。ネタバレしているので注意して下さい。
わたしを離さないで / Never Let Me Go

心に釈然としない気持ちを否応なく残す映画でした。
クローン技術、長寿社会、格差社会、これらの問題が勝手に歩き出した先を描いたのがこの映画の世界なのでしょうが、あまりにも釈然としない。この作品世界の住人には明らかに何か欠如しているものがある。
まず主人公たちは人間ではなく臓器提供者として生まれ、終了していく「生」の運命を何故受け入れられるのか?
そして、そのシステムを生み出したオリジナルの人間たちは何故そうも冷酷でいられるのか?
おかしい
この作品の世界には人間が生まれながらに持っているはずの道徳心が欠如している。
しかし、この作品を駄作とは思いません。
そういった欠如のある社会こそがこの作品の最も奇異な設定であり、それがSFたらしめていると思うからです。
古代人の社会、あるいは動物界では、他の「生」を補完するだけの「個体」は存在していたと思います。しかし、人間は社会の発展と共に「生」に価値を見出し、さらには人間の観念的なものに価値を見出してきました。だから「生」の価値に序列を付け、ないがしろにしているこの作品の世界は誰が見ても「おかしい」と感じるはずです。
オリジナルの人間がより長く充実した「生」を送るために、取るに足らないクローンの「生」を利用しようという論理は実現されえないだろ!と多くの人が感じる事でしょう。
しかし、そこはSFの醍醐味としてなんとか処理できました。
それよりも映画を通してその悲哀を見せるクローンの若者たちの姿に、虚無を覚えます。 可哀そうだとか、不憫だとかいう、見下した感情ではなく、仮にこういったような状況の人に出会った時に何も声をかけてあげられずに流れるであろう沈黙の時間を体験しているかのような虚無を感じます。
時に運命や苦境に従う事の方が勇気と忍耐を必要するならば、主人公たちはどんな人間よりも高尚に生きたと言えるのかもしれません。
物語上重要なエピソードでのキーワードである「possible」が「もしか」という日本語訳だったのが、上手く解釈出来ない。字幕翻訳者はあの有名な戸田奈津子さん。センスがあふれ過ぎて凡人にはわからない表現に至ったのか。

主人公のキャリーマリガンがトリンドル玲奈に似ていて、少し集中力を欠きました。
英国王のスピーチ

アカデミー最優秀賞を獲ったという事で、鑑賞前のハードルが上がっていました。しかし、残念ながらハードルを超えることなく、ハードルの下を背筋をピンとしながら疾走していったかのような印象です。映画のクオリティー、つまり、カメラワークや役者の演技などはとても高いと思います。しかし、ストーリーのスケールが思った以上に小さい事が後味のはっきりしない印象をもたらしているのでしょう。
正直、日本人にはあまりピンとこない物語です。国家元首のスピーチが国を扇動し、一つの方向に導いていた時代背景と、王族の持つ威光や権威をしっかりと理解していなければ、英国人と同様の感動は日本人には味わえないだろうと思います。ただし、吃音という障害を乗り越えて行くプロセスや、王族と対等に向き合い、吃音を直そうとするドクターの姿は感動と共感を呼ぶ場面だと思います。
一つだけ疑問だったのが、ドクターが「あなたは素晴らしい王になれる」と言っていた事が、本心なのか、気安めなのかです。あの映画を見る限りでは、ジョージ6世が素晴らしい王になる素質を持っていたとは思えません。おそらく前提知識として「彼が素晴らしい王だった」という歴史を当たり前のように知っていないといけないわけです。そういった意味でも、この映画は偉大な英国の歴史を小学生のころから学んでいないと中々感動できないのかもしれません。それか僕にまだまだ想像力が足りないのか、そのどちらかです。2011年のアカデミー最優秀賞は万人受けするという意味でこの作品になったのでしょう。その他のノミネート作品が個性が強すぎたと思います。
映画 エリックを探して

良い映画です。 この作品は巨匠ケンローチ監督のコメディ映画ですが、 コメディとはいうもののヒューマンドラマでもあります。
ダメダメな中年オヤジのエリックが前妻への未練や反抗期な息子達に悩んでいると、突如として尊敬するマンUのサッカー選手カントナが現れて、彼に前に進む勇気を与えてくれる。※注意;カントナは幻覚である。
正直なところカントナの事知りませんでしたが、どうやらマンUのスター選手でベッカムやクリスティアーノ・ロナウドの先輩に当たる人だそうです。
コメディとしての見どころは、息子を守るためにギャングに立ち向かうおっさん達の蜂起です。 ドラマとしての見どころは、ラストシーンで家族達が笑い合っているところです。 主人公のエリックが終始不幸な雰囲気を出しているから、最後にハッピーになってくれて凄いほっこりします。
そして、この映画からはケンローチ監督のサッカーへの想いが感じ取れます。 人々がサッカーに熱狂する理由、それは困難を打開していく力を感じることが出来るからだと思います。 人々は各々の人生にサッカーを投影して、ゴール(目標)を目指して走り続けるのです。 サッカー観戦の90分間というのは縮尺した人生を見ているようなものです。 ゴールと言うワードが「目標」を意味していることも何か感慨深いものを感じます。 ケンローチ監督もきっとサッカーに勇気づけられた一人なのだと思います。

映画 「ケス」 / 少年と鷹

出演: デビッド・ブラッドレー
監督: ケン・ローチ
解説: ヨークシャー地方の寂れた炭鉱町に住むビリー・キャスパーは年の離れた兄とケンカが絶えず、学校でもあまりぱっとしない地味な少年。彼は修道院跡の崖に鷹の巣がある事を発見し、巣からヒナを持ち帰る。ビリーはその鷹をケスと名付け、懸命に飼育する。読み書きも苦手だったが、ケスを育てるために必要であれば難しい本も読むようになった。ケスの調教は日ごとに成果を見せ、授業でその話をすると先生やクラスメイトのビリーを見る目も変わってきたが……。(allcinema ONLINE)
すばらしい映画です。
面白さはないけれど、とても考えさせられる点が多くある映画です。
まず、劇中で行われていた学校の授業の模様が印象的でした。
何の科目かはわかりませんが、テーマが「Fact and Fiction」です。
生徒に「Fact」すなわち「事実」の定義を問い、自分の事実を語らせていました。
物語の中でもこのシーンはとても大事な要素ですが、僕はこの授業に感動してしまいました。
自分の事を人に対して客観的に伝える事は簡単なようで難しい事です。
それは恥ずかしくてしゃべれないという事だけでなく、
自分の体験を言葉にすることは子供にとって困難なことだと思います。
この授業の本質はおそらく「内に秘めている個性が自分なのではなく、他人に語った事実で出来た人間が自分なんだ」ということだと思います。
こう考えるのが正しいかどうかは置いといて、その考えは生きるためには必要な事です。
イギリスの教育は今の日本にとって参考になると思います。
そしてまた、主人公のキャスパーがケスを飼う理由にハッとさせられます。
「ケスはペットじゃない、飼いならすことなんてできない。獰猛で超然とした鳥で、僕はケスの姿を見させてもらってるだけで十分なんだ」
この考え方に僕はとてつもなく共感しています。
動物にはそれぞれ尊厳と使命があり、その多くが愛玩用のために生まれてきたわけではありません。
犬に限って言えば、多くの人々が長年の犬種確立の努力の歴史や知識を知らずに犬をペットとして迎え、ずさんな交配を行い、先天的に疾患のある犬を生み出してしまっています。
また、殺処分されるペットが一時期話題になりました。
それもこれも人間が動物に対する尊厳を持っていないからです。
キャスパーがケスに抱く畏敬の念は本来に人間が持つべき感覚です。
また、彼は自分の理想の人間像をケスに重ねているのかもしれません。現実の労働社会を目の当たりにしているからこそ、誰にも服せず超然として、尊厳を持っている存在に憧れているのではないでしょうか。
ラストシーンはとても悲しいものですが、それでもキャスパーは悠然とその悲しみを乗り越えてくれるはずです。
そんな事を思わせてくれました。
モーターサイクル・ダイアリーズ ~チェ・ゲバラの青春~

出演: ガエル・ガルシア・ベルナル, ロドリゴ・デ・ラ・セルナ, ミア・マエストロ
監督: ウォルター・サレス
後に親しみをこめて“チェ”と呼ばれ、今もなお世界中から愛されている革命家ゲバラ。
まだ名もなき医学生だった頃の友との南米大陸縦断の旅が彼の未来を変えた!
人間味と情熱あふれる革命家の息吹が芽生える瞬間が心の極限を揺さぶり涙を誘う、真実の物語。
世界中の誰もが名を知っている革命家と言えばチェ・ゲバラ
彼の成し遂げたことを語るには、外すことのできない彼の青春時代が収録されています。
ただのロードムービーとして観れば普通の作品ですが、
ゲバラの実話だと思うと感慨深いものがあります。
この経験が彼を革命に突き動かしたのですから
ゲバラは裕福な家庭に育ちます。
いつの時代もそうですが幸せすぎるとその反動で未開の地へ憧れ、旅をしたい欲求に駆られます。
タイやインドに日本人旅行者が多いのもそういう衝動でしょう笑
ゲバラは現状からの変化を求め旅を始めますが、道中の様々な人々との出会いで
しだいに旅の目的が明確になっていきます。
自分達が「旅をしたいから、旅をする」のに対して、
道中に出会った夫婦は「生きるために、仕事を見つけるために旅をする」のです。
自分の周りの外の世界が想像以上に生々しいものであった事を認識したゲバラの
精神的な変化や成長が映画を通じて伝わってきます。
そしてゲバラの人間性も伝わってきます。旅の同行者であったアルバルト・グラナードはゲバラをこう言います。
何より素晴らしいと思うのは、チェの正直さだ―それに、否定的なものを肯定的なものに変えてしまう能力もすばらしかった。...彼は妥協しなかった。彼に見えていたものを共有し、それを信じなければ、(革命は)容易なことではなかった。 映画『My Best Friend』のプロデューサーであったクレア・ルインスが、今もゲバラが魅力的であり続けているのはなぜだと思うか、とグラナードに尋ねたとき、彼はこう答えている。 彼は、自分が公正と考えたもののために闘い、死んだので、若い人々にとって、彼は見習うべき存在になっている。そして、時が流れ、世界の国々がますます腐敗した連中に支配されるようになっているとき...チェの人格は、いよいよ大きく、偉大になってきていて、真似されるべき人物になっている。彼は崇められたりするような神ではなく、私たちが見習うことができる、常に最善を尽くした模範的な人間なのだ。(wikipediaより) |
彼は国家転覆や殺人の為に革命を行ったのではなく、貧困や差別などの世界の不条理をただそうとするために革命を行ったのです。
彼の正直さに関しては映画からも素直に伝わってきます。
また、この映画を見て、一番思ったことは時間があるうちは若者は旅をすべきだと言う事です。
- 異国での危機的状況
- 自分を全く知らない人々との交友
- 文化の違い、価値観の違い
- 現実を目の当たりにする
大げさかもしれませんが、自分の立ち位置が世界規模でわかるようになるのかなと思います。
自分がいかに幸せか、自分がいかに小さいか、自分がいかに面白くないかがわかるはずです。
外の世界の面白さ、生々しさをもっと若者は知るべきかなと思いました。
今の世の中にはチェ・ゲバラのような人が必要です。
縞模様のパジャマの少年

出演: エイサ・バターフィールド, ジャック・スキャンロン, デヴィッド・シューリス, ヴェラ・ファーミガ, アンバー・ビーティー
監督: マーク・ハーマン
ナチス将校を父親に持つドイツ人少年と強制収容所内のユダヤ人少年との友情と哀しい運命を描いた心揺さぶる人間ドラマ。ジョン・ボイン原作の世界的ベストセラーを、『ブラス!』『リトル・ヴォイス』のマーク・ハーマン監督が映画化。主人公となる二人の少年をオーディションで選ばれたエイサ・バターフィールドとジャック・スキャンロンが演じ、デヴィッド・シューリスやヴェラ・ファーミガといった実力派が脇を固める。人種など問わない純粋な友情と、戦争がもたらす子どもたちの宿命に胸が痛む。
悲しすぎる。
ナチスドイツの悪政を描いた映画は沢山ありますが、
新たな切り口で戦争の不毛さ人間の罪深さを描いています。
この時代では純粋さを持っていた人は皆、弾圧されるか、逃げるかしていたのでしょう。
この映画では8歳の子供がその純粋さの象徴であるが為に最後のシーンは悲痛さがハンパじゃありません
こういう映画を観て改めて思うのは、人間がいかに不完全であるかという事です。
いつの時代も崇高な価値観の裏には血なまぐさい事実が隠されています。
「こういう歴史は繰り返してはならない」
誰もが思う事です。
しかし、現在に至るまでこういった歴史は繰り返されていました。
今現在もリビアやシリアでは虐殺が行われています。
そして現代の何より恐ろしいことは何が真実なのかが一切わからないことです。
もちろんニュースは毎時間更新されていますが、それがだけが真実ではないと思います。
情報は基本的に操作されていると思いますし、ネット上に中東=悪という構図しかないのは
何が真実であれ怖いことです。
震災の時にも「デマに惑わされないようにしよう」という言葉がありました、
しかし、何がデマか真実かもわかりませんでした。
権威のありそうな人から「この情報はデマだ」と断言されると、
それを信頼しなければ、情報に惑わされる思慮の足りない人間だと思われるので、
みんなそれを信頼してしまいます。
人間のそういう盲信的なところが今回浮き彫りになって、
自分も含め、人間の不完全さってやはり怖いなと思いました。
話がかなりずれましたが、ドイツの強制収容所の時代と今の時代とで人間の本質は変わっていないと思います。
その中で必要なのは正しい方向に導くリーダーではないかと思います。
そう考えると日本の今後を憂慮せずには居られません。
危機感ばかりがつのるだけです。
ONCE ダブリンの街角で
解説: アメリカでわずか2館の公開から口コミで動員数を増やし、最終的には140館での上映となった話題のラブストーリー。ダブリンの街角で出会ったストリート・ミュージシャンと音楽の才能を持つチェコ移民の女性が、音楽を通して惹(ひ)かれ合っていく様を描く。アイルランドの実力派バンド、ザ・フレイムスのフロントマン、グレン・ハンサードが主人公の男を演じ、同バンドの元ベーシスト、ジョン・カーニーが監督。男女のドラマを音楽に乗せて展開させる、ロマンチックな作品に仕上がっている。(シネマトゥデイ)
あらすじ: ダブリンの街角で毎日のようにギターをかき鳴らす男(グレン・ハンサード)は、ある日、チェコ移民の女(マルケタ・イルグロヴァ)と出会う。ひょんなことから彼女にピアノの才能があることを知った男は、自分が書いた曲を彼女と一緒に演奏してみることに。すると、そのセッションは想像以上の素晴らしいものとなり……。
(シネマトゥデイ)
歌がまず良い! ストーリーもダブリンの空気感や歴史と現実を切り取っていて悪くない!
製作費が1800万という事で映像が安いというかドキュメンタリーっぽくて最初は映画として不安になりましたが、
二人のセッションシーンでそんな不安は吹き飛びました。
こういう映画が日本にまで広がって観れるというのはホントに今の時代のグローバルの力ですね。
いい歌や映画というのはなんとか世の中に出せば正当に評価されるもんです。
ただ主人公の男の人は髭を剃った方がかっこいいんじゃないのかな?
アイルランドだけにアイリッシュウルフハウンドに似てましたけどね笑

