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    映画「ライフ・イズ・デッド」 / ゾンビの世界だからって心まで腐らなくていいじゃないか!

    感動できる&笑える邦画

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    基本情報

    出演 荒井敦史、ヒガリノ、川村亮介、阿久津愼太郎、しほの涼、永岡卓也、中島愛里、円城寺あや、小林すすむ
    監督・脚本 菱沼康介
    原作 古泉智浩
    公開 2012年
    あらすじ 段階を経てゾンビ化し、レベル5に達すると心臓も思考も止まりはいかいするアンデッド・ウイルス「UDV」。そんな奇病が世界にまん延し、日本の高校生・赤星逝雄(荒井敦史)も卒業間際で感染してしまうのだった。

    予告編を見る

    感想

    すごい面白い。 何の気なしに日本発ゾンビ作品を観てみようと思って観たら、こんなに面白い作品があったとは。 2012年公開だなんて知らなかった。 自分にまでこの映画のプロモーションが届いていなかったのがなんとも悲しいことです。

    映画ではゾンビウイルスの保菌者を抱えた家族の葛藤が必ずしも丁寧に描かれているわけではないけど、それを充分に想像させてくれる余白が映像表現の中に沢山散りばめられていて、この監督は色んな映画観まくっているなぁと感じます。実際、映画家という肩書きで沢山観ているそうです。(記事下にインタビューリンクあり)

    20120203235121_00_400.jpg

    また、こういう規模の映画を観ると何故か新しい俳優さんの演技が強く印象に残ります。この映画での特筆すべき俳優さんは何と言ってもヒロインのヒガリノさんでしょう。芸名はノーマルに漢字にすべきじゃない?と、彼女の芸能方針にまで口を挟さみそうになるぐらい光るものがありましたね。 「紀子の食卓」の吉高由里子と同じ匂いを感じました。というか画像を観ても分かるとおり顔も佇まいも似ているので、吉高さんの印象に引きずられているのかもしれません。 でもヒガリノさんの演技良かったです。とあるシーンの驚き顏がハニワのようで最も怖かったですよ。

    そしてこの作品をそもそもみようと思ったキッカケですが、この映画のDVDパッケージにこんな表記が入っていたからなんです。

    ゾンビの特殊メイクには世界で評価を受けるヒゲメガネと西村映造。

    mapnisimuraeizou.jpg

    いやいや西村映造とヒゲメガネを宣伝文句にしてもピンとくる人少ないだろ~!と思いましたが、B級映画ファンがターゲットなんだからこの宣伝文句はありか、と思い直しました。なにより僕はこれによってピク~なりましたからね。 実際問題、日本映画界の中で西村映造なくして、ホラーやらグロやらスプラッターやら流血を思い切りよく表現する事は出来ないはずです。西村映造という造形会社自体が一部でアイコン化しているというのが面白いですよね。 例えば、有名どころで言うと「冷たい熱帯魚」のおぞましいシーンも西村映造ですし、それ以外にも多くの人が西村映造の造形物をスクリーンの中で目撃している事でしょう。(ちなみに右の画像は西村映造のガレージのストリートビューです。残念ながらシャッターが降りていますが、ここが開くとパイプに突き刺さった女性の死体の造形物が丸見えになります)

    この映画でも例に漏れず首が飛んだり、血がピューピュー吹き出したりしますが、コメディチックに仕上がっています。コメディチックと言うと少し語弊がありますが、少なくとも「無理~、観れないわ、あ~気持ち悪い」とまでは思わないというニュアンスです。「いきなりボーン、みている人ポカーン」な場面ってどんなにグロテスクな描写でも笑っちゃうじゃないですか、笑いませんか?僕は笑うんですよ。こういう表現はジワジワじゃなくて、いきなりボーンっていうのがポイントですよね。 ゾンビ映画がそれで良いのかっていう話ですが、良いんです。この映画にはそういう迫力を追求せず、ゆるいゾンビ描写が必要なんです。

    この映画ではゾンビ演出を軽めの喜劇チックにし、一方で登場人物の内面を深掘りして行く場面では、悲劇チックな演出でシリアスっぽくなるわけです。「○○チックで○○っぽくなる」という、むやみに底が深いわけではないというところも好きなポイントです。

    バランスとしては、ゾンビ演出のスケール感が1に対して、人々の苦悩描写が1.618ぐらいです。まぁ、何が言いたいのかと言うと、黄金比なぐらいバランスが取れてるというか、要するに心地良いわけです。最後なんかはちょっと感動なんですよ、B級映画でも演出力でここまで到達出来るんだねって、心の中でスタンディングオベーションしました。

    ヴィジュアルで無理やり恐怖を煽る場面とそれに振り回される人々の葛藤、このバランスを上手く調合出来れば、ゾンビやホラー作品は作品の規模に関わらず、面白いものになるんだなぁという発見が出来たんです。それも日本映画で発見出来たっていうのが嬉しいですよね。 このライフ・イズ・デッドは、B級というチープさの印象がしっかり漂っているにもかかわらず、製作者の映画に対する深い造詣という光をランランにはなっています。この光なんか良いな~って思える作品です。アングラな映画好きだったら間違いなく思い切り光合成出来ることでしょう。

    余談

    B級映画の場合、期待値が低いという前提条件を無意識のうちに受け入れている事が必要ですので、この記事によって期待値が上がり、万が一鑑賞する場合は、鑑賞前にコーヒーでも飲みながら、「B級に身の丈以上の驚きは求めない」と複数回念じる必要があるでしょう。 あと、この映画には「草食系男子+ゾンビ+ニート=史上最弱のゾンビ、ここに現る!」というキャッチがついていますが、この言葉の要素を物語からほぼ感じ取れなくて逆に斬新だなと思いました。

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    コメントの投稿

    Secret

    kitaco said:

    No title

    私のところにもプロモーションが届いてなかったですよー!
    しかも、仰るように、すっかり吉高さんだと思ってました。
    教えていただいてありがとうございます!
    ぷっつんさんにはいつも教えていただいてますね^^

    西村映造さんも知りませんでした。
    井口監督や園子温監督とお仕事されてるのですね。
    HP見たら赤くてドキドキしましたよ(笑)
    ぷっつん said:

    ≫kitacoさん

    東京でちょこっと上映ですから中々情報出てこなかったみたいですね。

    西村映造ですが、特に井口監督作品だと凄い面白いですよね。
    CGだと「リアルーうわすごーい」の場面も、西村映造の造形だと
    「うわー気持ち悪いけど面白ーい」になるから、
    唯一無二の表現集団だなと思います。
    空夢 said:

    No title

    面白そうですね。
    ほんわかゾンビ作品大好きです。
    「B級に身の丈以上の驚きは求めない」と
    複数回念じる必要がある
     って
    すごく分かります。
    作品を楽しむ為の心構えですよね。^^
    この心構え一つで随分満足感も左右されるって
    いっても大袈裟ではないですね。(笑

    余談ですが、以前「東京ゾンビ」という
    楽しい作品を見たことがあります。
    B級日本映画の分野は
    掘り出し物が沢山ありそうですね。
    ぷっつん said:

    ≫空夢さん

    B級映画っていう言葉自体が、その映画の満足度を最大にする為に生まれた言葉かもしれませんし、
    この映画を観て、B級映画を楽しむ事は映画体験としてかなり高度な事なんだろうなとも思いました。

    東京ゾンビも観てみようと思ってたところです。

    それより、空夢さんまた何らかの形でアート動画の紹介お願いします!
    ちなみにブログの埋め込み動画はストリーミングなので違法ダウンロードの対象では無いようですよ。
    ただ、その動画自体が制作者の意図に反して違法にアップロードされていたとしたら、心苦しいですよね。
    難しい問題です...


    ひし said:

    No title

    はじめまして。


    愛するゾンビと惚れ込んだ原作に取り組んだ成果である
    拙作の映画を楽しんでいただけたようで、幸いです。

    今年公開予定の新作もB級なゾンビ絡みの物語です。
    プロモーションひっかかりにくいですが、ほそぼそと作っておりますので、
    期待と、また観ていただけたら。

    再見。
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